若頭の秘密のレンアイ



「そ、そんな…私は山口 直樹。あんたなんて好きにならない」


目を反らしながら大きな声で否定する。
こんな男に振り回されてたまるか!


「直樹」

「え?」

「俺のことは直樹でいい」

「なっ!?」


この男はどこまで自己中心的なのだろうか。話が噛み合ってない気がする。




「俺もお前のこと普通に呼ぶから」

「ふ、普通?」

「そ、綾乃って」

「うっ……わっ、」


名前をゆっくり呼ばれただけで
身体全体が熱くなって

苦しくなってきた。


「はははっ、綾乃お前、本当に男に免疫ないんだな」


「っ!なっ!?」


「顔すげー赤い、」


「うっ!うるさいなぁ!」


この男、デリカシーって言葉を知らないのか!
赤いことは見て見ぬ振りしてほしかった。


「お前のこと、気に入った」

「へっ!?」


「これからよろしく、綾乃」

「っ!」


そう言って私の手の甲にひとつ口付けを落とした彼…直樹は私の驚いた顔を見て

またもや楽しそうに笑う。


「くくくっ…」


それにもちろんカチンとくるわけで


「やだやだやだやだ!こんな男絶対やだぁー!」


私は真っ赤な顔で怒り狂う


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