鬼と天使と少年と、
「いいですか、佐雄っ!」


「は、はいっ!………って、え?」



思わず返事しちまったけど、なんで俺今呼ばれたんだ?


しかも指差されてるし……。


え、あなたとは初対面ですよね?


キョドる俺に構わず、【姫】は俺を指差しながら立ち上がり、上から目線で俺を睨んでこう言い放った。



「佐雄、あなたのような庶民のポッと出に……わたくしは負けませんわ!」


「……はいいぃいぃぃいっ?!」



いきなり何を?!


姫は拳を握りしめぷるぷる震えながら歯をぎりりと食い縛っている。


ほ、ほんとに初対面だってば!
俺は恨まれるようなことなんてシナーイ

だって面倒臭いんだもん!



「ふふ、ふ……どんな可愛いお嬢様かと思いましたら……男ではありませんか!何故このような平凡男なんかに………っ」


「(すっげ失礼なんだけど…)」


「お金持ちかと言えばそうでもない全くの庶民!顔もダラけきっていますわ!」


「(生まれつきこうなんだよおおおッ)」


「オマケにわたくしと同じ目線で話すなんて!ありえませんわあああッ!!」


「(えええええぇぇぇっ………)」



なんか酷い言われようなんだけども。


っていうか、この姫様、きっと何か誤解してるよね。


そのためには誤解を解かなきゃだけど…………原因は一体、



「十六夜様はアナタなんかに渡しませんわッ!!」


「………。」



あ……あの変態男ぉぉおおおおッ!!

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