鬼と天使と少年と、
第三者の声が聞こえたと同時に、目の前まで迫っていた氷のドラゴンがパリンと音をたてて割れた。


た、助かった……!


にしても誰が助けてくれたんだろうか?

そう思い、遠くにいた姫様の方へ視線を向けると………



「あら、【剣牙】(けんが)。わたくしの後を着いてきていましたの?」


「あったり前じゃないですか!姫を一人にすればどうなるか分かったもんじゃない!

今だって人を襲っていたではありませんか。まったく……俺が来なかったらどうなっていたことやら……」


「ふふ、剣牙は心配性ですわね。まあもっとも?姫であるわたくしの下(もと)へ駆けつけることは騎士にとって当然ですことよ!」


「だーもうっ、【姫ごっこ】はやめてくださいよ!俺が敬語なのは、あなたが先輩だからですよ?

【"自称"姫】もいい加減にしてくださいっ」



「………。」



姫…ごっこ……?


"自称"………姫ぇえ?



会話を盗み聞きした俺は、衝撃の事実に目を丸くさせた。


え、本物の姫様じゃなかったん?

ってことはホントに【姫】って名前だったのか……。姫も紛らわしいことするなぁ……。



なんてぶつくさ呟いていると、【剣牙】(けんが)と呼ばれた男性が俺の方を見つめてきた。

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