鬼と天使と少年と、
勝手に人をライバル視してくれちゃってた人に任せろと?!

信用ならねぇわ!


だけど胸を張ってドヤァな顔をする姫に逆らえる勇気なんぞ俺にはなく……(くそぅ、俺のヘタレ!)。


渋々口を開くしかなかった。



「実は1ヶ月後に【劇闘祭】があるんです。それで何をやるか今決めてるとこなんですけど………。

決まるかどうかも定かじゃなくて、このままで大丈夫かなぁ、と。不安なワケですよ、はい」


「劇闘祭……ああ、十六夜さんが去年やってましたよね、姫」


「はぅう!十六夜サマのチェシャ猫姿!萌え萌えでしたわ!アレをもう一度見られれば………クッ。

佐雄!」


「え、あ…はいっ!」


「わたくしが直々に劇指導をしてあげますわ!」


ええぇっ?!


「そりゃまた何で……」


「十六夜サマにもう一度会うため……………ごほん、り、理由なんてありませんわ!」


「姫サマ頑張ってくださいっ」


「あら、剣牙。あなたも当然協力するのよ。あったり前じゃない!」


「「(え…えええぇぇっ)」」



なんつー、自己中なお姫様だ。


剣牙さんも可哀想に……。


っていうか、そもそも。

まだ何の劇するのか決めてないんですがお姫様?


それを伝えると姫は腰に手をあて、またもやドヤァな顔で



「【ピルノア】ですわ!」


「はい?」



お姫様の思考は、庶民出の俺には到底理解できません。

< 111 / 220 >

この作品をシェア

pagetop