鬼と天使と少年と、
【ピルノア】とは何ぞや?

初めて聞くんだけどなぁ……。


姫はドヤァな顔で話を聞いてくれそうにもない。


仕方なし、剣牙さんにでも聞くか。



「【ピルノア】って初めて聞くんですけど……ホントにあるんですか?」


「それがあるんです………って、なんか敬語はお堅いからやめるか。

【ピルノア】ってゆーのはな、とある愉快犯な兄弟が生み出したんだ。

騎士に魔法使いに王子サマ……もちろん姫なんかも登場するんだが。まったく愉快なもんだよ。


男役を女性が、女役を男性がするんだからな」


「…………え"っ」



ちょーっち待てーい。

今なんと?



「お、男が女装……?!う、嘘でしょ………じゃない。嘘だろ?!」



思わず敬語になったのを直して、俺は顔をひきつらせながら剣牙さn……剣牙を凝視する。



「ははっ、俺も最初は驚いたよ。……………マジで女装させられるとは思わなかったしな」


「………ドンマイ剣牙」



剣牙も被害者だったのか。

乙です。



だけど俺も今危ういってことだよな?………なあ?


俺は溜め息をついて姫を見つめた。


高らかに笑うお姫様は、完全に【ピルノア】をやらせる気だ。


ちょっ……誰かヘルプミー!

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