鬼と天使と少年と、
にしても……。


爺ちゃんが姫サマを見たとき、なーんか驚いてたような………気のせいかな?



「あれ、姫さんってここの生徒じゃないんスか」


「ええ、そうよ。わたくしはとっくに学校等の類は卒業しておりますもの」


「へぇー!あ、じゃあじゃあ、その十六夜さんって人は年下なんスね」


「あら、それは違いますわ」


「「え?」」


「だって、あの方は別の理由で学校にいるんですもの。歳はあなた達より何十倍も上でしてよ」



え………えええええええええッ?!


あんな綺麗な人が……俺より何倍も年上?!それってまるで、



「おーぅ、お前ら。何しとるんだぇ。はよぅ教室行かんかい」


「爺ちゃん………」



爺ちゃんと十六夜さんって、ほんとに敵だけの関係なのかな?


なにかもっと別の理由で関わってる気がする。そう思うのは、俺だけ?


黙って爺ちゃんを見つめる俺の後ろでは、倭草と雨乱の驚く声(「え?!あれが佐雄の爺ちゃん?!」「若すぎません?!」)などが聞こえたが。


それよりもっと目を見張る言葉が、俺の後ろから響いた。



「あら、久しぶりですわね。炎葉(えんよう)…………いえ、【強欲の王】」


「かかかっ、さっき校門前で見たときも思ったが……お前も綺麗になったのぅ。
【嫉妬の姫】」



爺ちゃんって、一体何者なの?


昨日会ったばかりの姫サマと、俺が小さい頃からずっと一緒にいた爺ちゃん。


二人が火花を散らせながら笑い合っている理由を、俺はまだ知らない。

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