鬼と天使と少年と、
そういえば、と。今更ながら思い出す。


雨乱って、女顔がコンプレックスじゃなかったっけ?


イコール、女装にもトラウマがあると…………うわ、どうすんのさ。



「えーと、雨乱。女装は嫌だと思うからさぁ。できればボーイッシュ方面の衣装着るといいよ、な?」


「さ、佐雄……っ。でも私が女装するとどうせからかうのでしょう?……そんなの耐えられませんっ」



ちょ待てーい。

いやいやいや、雨乱くん?
こちとらフリフリドレス着るはめになるんだよ?そんな格好で君をからかえるとでも?


否、逆にバカにされるだろうよ。



「雨乱をからかうワケないって。それに、雨乱が着ても違和感ないと思………げふんごふん。

とにかく、雨乱はボーイッシュなのを着るといいよ」



危うく禁句ワードを言いそうになる俺だったが、なんとか誤魔化して再度雨乱に笑顔を向けた。

………んだけど。


どうしてこう、姫サマって空気読んでくんないのかなぁ。



「あら、ダメですわ。雨乱、あなたは女顔ですし……女装が一番似合うと思いますもの。

一番可愛いもの、選んであげますわ」


「ひっ………」



にっこり。笑う姫に雨乱は青ざめ。


もしかして姫サマって鬼畜?


え、わざと?
ねぇ、わざとなの?

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