鬼と天使と少年と、
とにもかくにも、教室内でぐだぐだしているワケにもいかないのだ。



「姫サマも倭草と一緒に雨乱を追いかけてください! あああッ、でもでもドレスは置いてってくださいよ? もっと雨乱が全力逃避しますからああッ!」



ドレスを持って今にも突っ走りそうな姫サマを止め、取り上げたドレスを近くにいた珀(はく)先輩に預けた。


預けられた珀先輩は無言で焦りつつ、なんともビミョーな顔で受け取ってくれたが、そんなの知ったこっちゃない。


こっちは一大事だってんだ。



「私も一緒に追いかけるわ……と言っても、あの子が教室を飛び出してから今までかなり時間を消費したわよね。

ってことは今更追いかけても何処にいるか分からないし、私たちも協力するから、みんなで手分けして探しましょう。

いいわよね?みんな」


「ふん、別にいいぞ。俺の魔法にかかれば二度と逃げられない体に出来るしな」


「うっわお、羅架!目がマジ過ぎて怖ぇえんだけど!」


「そーゆう珀は協力してくれるの~?私は勿論協力するよ!だって茄希ちゃんの頼み事でもあるもんね!」


「ありがとう、呂坐…。 さ、みんなもこう言ってくれてるんだし、早いとこ雨乱くんを探しましょう?」


「茄希先輩……!」



どうしよう俺本気で感動した。

カッコよすぎるぜ茄希先輩!


茄希先輩をキラキラした目で見つめる俺。その後ろで展開されている会話には、全く気づかなかった。



「………ねぇ、そこのイケメン男」

「………倭草ですけど?姫さん」

「まぁまぁ、いいから。ところで佐雄は……その……あの美人な茄希が好きなのかしら?」

「かもしれないんスけど……佐雄本人は自覚ナッシングなんスよねぇ…」

「……な、成る程ですわ」


「「はぁ……」」



「?」二人が何故溜め息をついているのか、理解しがたい。


っていうか二人共、いつの間にそんな仲良くなったんだろうか?

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