鬼と天使と少年と、



裏庭の噴水近く。

木陰の茂みに身を潜め中なワケですが、只今駄目人間の俺こと【佐雄】(さお)は、雨乱(うらん)にどうやって声をかけようか迷ってます。


いや今すぐ雨乱のとこに行ってみんなのとこへ連れ戻すのが一番だと思うけどね?でもね?


それが出来ないんだよね。



「佐雄、いいからファミリーに入れよ。アンタは俺の玩具だろ?」


「でーすーかーらーっ、俺は十六夜さんの玩具になったつもりはありませんって!(小声)」



雨乱にバレない程度に奮って反論すると、目の前にいる美形BUT残念思考さんはまたクツクツと笑う。


そう、何故俺が雨乱のとこへ行けないかと言うと、十六夜さんが絡んできたからなのである。


十六夜さんは【闇喰いファミリー】の人。ってことは爺ちゃん曰く危険人物らしいし、雨乱に会わせるのはマズイということで。



「なぁああぁあっっに笑ってるんですかあああッ!いいからどっか行ってください!俺は今とっても忙しいんですッ!(小声)」


「授業サボってまであの子(雨乱)に会いに来てんのか。……へぇ、佐雄ってやっぱ、友達に一途なんだな」


「あったり前です!そもそも友達は大切にすべきでしょう?俺は、2人とも大切な友人なんです」


「2人、か………」



そう呟いた十六夜さんは一息つくと別の話題へと話を変えた。



「ところで佐雄、あんた女装するのか?」


「ぶッッ!!」



今それを聞きますか?!
今それを!!

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