鬼と天使と少年と、
俺と倭草のドン引きな視線を受けながら、姫サマはうつ向いたまま不気味に笑い続けている。



「ちょ、倭草っ。どうしちゃったのさ
この姫サマっ?!」


「俺にもさっぱり……つーか今の話、笑う要素1つもなかったよなぁ?やっぱこの姫さん危ねぇ……」


「ふ、ふふ、ふふふふふっ……なぁーるほどですわぁあ…っ。雨乱にそんな過去が……ふふっ、ふ……」


「「………。」」



姫サマは崩壊寸前のようです、はい。

だけど今よりもっと衝撃的な言葉が姫サマの口から飛び出た。



「でしたら、ワタクシが雨乱に"愛"というものを教えて差し上げますわっ!

異論はなくて?」



物言いをさせない姫サマのオーラについコクコクと首を縦に振ってしまう。


「……ん?」と、首をかしげた時には既に遅し。猛烈なスピードで姫サマが駆けていった。


去り際には、



「愛は世界を救うのですわーっ!」



……と、何やらあのヘンタ……げふんごふん。十六夜さんに向けてのメッセージにしか思えないんですが。



「………って、おい佐雄!俺たちも早く雨乱を見つけようぜ!ああぁ…早くしねぇとマジで雨乱が……っ」


「ちょ、落ち着けって倭草!確かに雨乱が暴走しちゃマズいけどさ……」


「でも!……俺はアイツの苦しむ姿が見たくねぇんだよ……」


「………。」



そう言ってうつ向く、綺麗な顔をした
倭草。


……やべ。



「ホントお前ら端から見るとカップルに見え、ごふッ」


「ふざけた事言ってねぇーでさっさと探すぞ!!」


「あい……」



顎が痛い。


どうやら短期な倭草に冗談は通じないようだ。ちぇっ、ツマンナイの。

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