鬼と天使と少年と、
雨乱を見つけるために俺はもう一度魔法陣をかく。うわ、自分で言うのもなんだけどちょぅ雑。



「んん~……квт…фбφ…………ςυ………………эхлβз……

………はれれ?」


「? どうしたんだよ、佐雄」



手を合わせて呪文をブツブツ呟いていたのを中断させた俺に、倭草は怪訝な顔をして聞いてくる。



「うーん……それがさ、反応しないんだよね」


「はぁ?反応しねぇだと?」


「ちょ、ガン飛ばしやめてっ。怖いから!」


「うるせぇ!いいから今のどーゆうことだか説明しやがれッ!」



恐ぇえッ。

え、何これ。美人の睨みは恐いっつーけど俺もう泣きそう。恐すぎて逃げたいんですけど。


しかし倭草は俺の胸ぐらを掴んで逃がしちゃくれない。雨乱のことで頭に血が上ってる感じ。


ああもうホントお前は彼女を心配するイケメン彼氏かッ(恐いので心の中で叫ぶ)。



「俺にもよく分かんないよ!今までこんなことなかったし………雨乱の魔力で俺の探知魔法はじき返されてるってことかもしんない」


「…………そりゃ、ねぇな」


「え?」


「あいつは治癒専だ。攻撃魔法より使う魔力が少ねぇからな、アイツ自身もンな魔力持ってねぇだろーよ。

第一、佐雄。」


「は、はいっ」



いきなりギロリと睨まれて俺は思わず
恐縮。恐ぇえ。

そんな俺に倭草は人差し指で俺を差して、(人に指差しちゃいけないんだって!)



「お前を超える魔法使いなんざ、俺は見たことねぇし聞いたこともねぇ。

そんな奴、いるかどうかも分かんねぇし………雨乱がお前の魔法を弾き返すのはまず無理だ。それに、」



すぅ、と息を吸って。



「俺はお前を、信じてる」


「………。」



やべ、泣きそ。

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