鬼と天使と少年と、
「佐雄の探知が効かねぇってことは、………誰か別の人物が絡んでる、とか」


「えっ」


「仮説だ仮説。ンな間抜けな顔すんなって。あと泣くな」


「なっ、べ、別に泣いてねーし?これ汗だし?涙腺ほろりなんてワケねーし?」



嘘です泣きかけました。
っていうかコッソリ泣いてました。


そんな意固地になる俺に倭草は微笑。


おぉう、睨みの後に見る笑みはまた違った風………って待て待て俺ぃ。

十六夜さんと関わって脳ミソ変になったか?うん、きっとそうだ。


イケメンすまいるについ鼻を押さえてしまった俺に倭草は疑問符。そのまま何も知らずにいてくれると有難いデス。



「ま、佐雄の探知で雨乱見つけらんねぇーってことは、やっぱ自力でやるしかねぇな」


「お、おう」


「ほら佐雄、さっさと行くぞ。……なんで鼻押さえてんだ?」



オ願イダカラ何モ聞カナイデー。


その後しばらく、倭草を誤魔化すのにだいぶ時間を喰った俺たちでした。











「(……あ、そういえば)」



なんとか誤魔化して倭草の背中をぐいぐいと押す俺。



「(………雨乱の時もそうだけど、なーんか倭草も変わったなぁ…)」



雨乱は俺を撒くほど動きが速くなったし、(前は運動オンチだったのにね)

倭草は、


『………誰か別の人物が絡んでる、とか』

『仮説だ仮説。』


よく考えるようになった(前は勉強ダメで考えなしの無鉄砲だったくせに…)。



……二人共、成長してんのな。



そう思うと置いてけぼりを喰らった気分でちょっぴり悲しくなる俺がいたりする。



「(俺も、変わらなきゃな)」



アレをいつまでも引きずるな。


そう、どこかで警鐘が鳴った。

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