鬼と天使と少年と、



「はあっ、はっ、…あんの阿呆ッ!」



暗い暗い、夜の学校。

短気な鬼の少年こと【倭草】(わぐさ)は駄目人間である【佐雄】(さお)を探していた。



「だああっ、もう!なんで見つかんねえーんだよッ、あいつ"俺より"足遅いはずだろ?!」



頭を掻きむしる倭草は「がーッ」と叫んで再び走り出した。


あーだこーだ言っててもしょうがねぇ、と。そう語る背中にはひとつの影がうつっていた。


忍び寄る影、気づかぬ小鬼。


ぬっとその影の人物が倭草に手を伸ばした。そのとき、



「うわあああああああああッ?!」


「佐雄っ?!」



どこか近くの教室から聞こえた友人の叫び声に倭草はあたりをキョロキョロ。


そのとき既に、影は倭草の死角となる壁の内側に隠れていたせいで、倭草がその存在に気づくことはなかったのだった…………







「チッ、タイミングの悪い…」



影の人物が鬼の少年を死角となる壁から覗く。その時丁度ふっと気配がした。



「あーあ~、駄目じゃないですかあ。あの少年を逃がしちゃってまあまあまあっ」


「……なんだ、【白夜】(びゃくや)か」


「なんだじゃないですよ、まったく………困るのは僕らファミリーなんですから、ねえ?」



妖艶な笑みを向ける白夜に、影の人物は溜め息をついてぽっかりと浮かぶ月を見つめるだけだった。



さて、役者だけじゃない

舞台裏でも大変さ


衣装はどうよ?
化粧はどうよ?
小物はどうよ?

仕掛けはどうよ?


よしよしそれじゃあ


お手並み拝見といきましょう

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