鬼と天使と少年と、
にしても倭草、今のって狙ってやってた?答えがNOならあんた、生粋のイケメン野郎じゃんかようっ!



「うがああっ、てか倭草!やっぱここ出るんじゃんっ!なんかあの白鳥に取りついてんじゃんッ!」


「わあーった、わあーったから落ち着け。……まあ、佐雄の言う通り、なんかいるみてえだけどな…」


「ほらぁああっ!」



ぎゃんぎゃん騒ぐ俺に冷静な倭草。

え、ちょっと隣の奥さん聞いてー。目の前の倭草くんなんでこんな落ち着いてんのー。


ぽかぽかと倭草の胸板を殴る俺だったが、ふと聞こえた物音に行為をふと止めてしまう。

倭草も同じで、俺の後ろ。つまり先程白鳥がぶっ飛んでいった方向を凝視した。



[ぎ、…あ………ころ、セ…]


「……チッ、やっぱ一筋縄じゃあいかねえよな」


「うううううううそおっ?!アレまだ生きてんのおおおおッ?!」



「ぎゃーすッ!」と叫ぶ俺を後方にまわし、倭草は白鳥の元へツカツカと歩み寄る。


白鳥はなんとか食い殺そうと首を伸ばすが……無念、倭草に頭を押さえつけられてしまった。



[ギャガッ……が、ア……]


「………佐雄」


「え、あ……うん?」


「ちょっと教室の外に出てくんね?すぐ退治するから」


「ええっ?危ないって!俺も残っ……」


「いいから、いけ」


「っ……」



倭草に睨まれ、思わず足がすくむ。

でも逆らえないそのオーラに俺は「うん…」とだけ言って教室から出ていった。

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