鬼と天使と少年と、

なんか、倭草の様子がオカシイ。

曇った顔をしながら、俺は教室から出た。その途端。



[アアアあぁァアアァアガアアアッ!]


「?!」



思わず立ち止まり、再び教室の中へ入ろうと取っ手に手をかけた。だけど…。


ーガラッ



「あ……」


「佐雄、もう大丈夫だ。これであの化け物はもう二度と動かねえよ」



にっこり、あまりにも不自然な笑みに恐怖を感じた。


こんなの倭草じゃないっ!



「あ、佐雄っ!」

「っ……!」



気づくと俺は駆け出していた。


怖いコワイ恐いこわいコワイ恐い怖いこわいこわいこわいこわいこわいコワイこわいこわい怖いこわいこわいコワイこわい恐いコワイこわいこわいいっ!


なにか、なにかがオカシ過ぎるんだ!


倭草の笑顔があまりにも自然すぎて、ただ “だからこそ不自然なんだ” 。



「っあ……」そういえば、


ふと足をとめ、呼吸を整えながら不出来な脳をフル回転させる。


倭草は『にっこり』と笑うんじゃなくて、『にかっ』と笑うんだ。

倭草は『脳で考える奴』じゃなくて、いつだって『物事を直球に見て』たんだ。



「…まさかっ………」



あの倭草は、偽者……?


だとしたら、いつ?いつ入れ代わったのか。俺と倭草はずっと一緒だったはず………。


この“夜の学校”に入ってから離れたものの、その前から倭草はオカシかった。


じゃあ、本物の倭草は?

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