鬼と天使と少年と、
「 “俺たち” には佐雄が必要に決まってんだろっ!そうやってすぐ一人で抱え込むんじゃねえよ!つーかさっきから言いたい放題言いやがって…ッ
俺が偽者だあっ?!馬鹿も休み休み言えってんだっ、この駄目人間ッ!!」
「なっ……」
怒鳴る偽者は、呪文なしに姿を変えた。
肌は浅黒く、額にはツノが生え、牙は鋭く、赤々としたオーラがその体を包んでいる。
えっと、これってもしかして……
「ほ、本物だったりぃ~……って、あははははは……………、
すんまっせんしたあああああッ!!」
「るっせえっ!いいからソコに正座しやがれ駄目人間ーッ!!」
青筋ピッキピキの“本物”の倭草に、ガクブル震えて正座している俺。
その様子をクツクツ笑ってみている十六夜さんに、俺を指差し「かっかっか!」と笑う爺ちゃん。
すげえカオス。
れれれ?どうしてこんな状況になったんでしょー?
とりあえず今は、誰かヘルプミー!
「で、なんで倭草はいつもと違う行動してたのさ。っていうか、爺ちゃんも気づいてたなら教えてくれればよかったのに……」
「かーっかっかっか!いやはや、友に熱く語る孫の姿がおもしろ…あ、いや。感動してのぅ、つい魅入ってしまったんだぇ」
絶対ウソだ。
この人絶対面白がってるよ。
「かっかかっ、ああー、面白かったわぃ。久しぶりに爆笑したのぅ」
もう一度言う。
このひと、ぜったい、おもしろ、がって、るよ。
ていうか、最早完ぺき『面白かった』って認めてるよね、この老いぼれ。