鬼と天使と少年と、
「まあまあ、落ち着けって佐雄。とりあえず何でこんなことになったか聞けばいい」
「……そういう十六夜さんも、笑ってるのバレてますから」
口元を隠してはいるものの、声が震えてる時点でアウト。
お前らいい加減にしろや。
「なあ、佐雄。なんで俺がいつもと違う行動したのか、わかるか?」
「え? えっと……思春期だか「テメェふざけてっとマジ潰すぞ」すいませんでした」
相変わらず正座状態の俺は目の前にいる倭草が怖く、思わず土下座して顔を見ないようにしている。
だってこの子怒ってるし。絶対般若顔なってるってコレ。っていうか、倭草マジもんの鬼だぜ、鬼。
俺が脳内でぐるぐる考えていると、突然頭上から「はあ…」と溜め息が聞こえた。
思わず顔を上げると、そこにはイケメ………うおっとお、別にボーイズうんたらじゃねえかんな。
「“俺たち”がオカシクなったのは佐雄、お前のためでもあるんだ」
お、俺のため?
…っていうか………
「オカシイって自覚あったんだ」
「ぶん殴られてえかテメェ」
ごめんちゃい。
思わず土下座アゲイン。
また後ろの二人からは笑い声が漏れてるんだけど、うん。気にしちゃ負けだ。
でも、俺のためって…?
それに『俺たち』って………。
まさか、雨乱と倭草は始めからこうなることを狙ってた?
だとしたらなんで雨乱探しなんか……
それに倭草、言ってたじゃんか。
『雨乱がヤベーことになる』って。
雨乱を犠牲にしてまで、俺のために何をしようとした?