鬼と天使と少年と、



「ようやっと核心に迫っているようですねぇ、あちらは」



ゴシック調の部屋にて。

二人の男が酒を飲み交わしていた。


その少し離れたところでは意識を手離した一人の哀れな天使の姿が。



「余興もそろそろ終(しま)いか。これから我をどう楽しませてくれるのだ?酒のつまみは、多ければ多いほどよい」


「仰せのままに、ボス」



膝をつき頭を下げる男。

その目の前ではボスと呼ばれた男が、口角を上げて酒を楽しんでいる。



「のう、【白夜】(びゃくや)」

「はい」


「舞創ファミリーのあの男、貴様はどう思うておる?」


「使える、いい駒だと思っていますよ。あれほどの単純馬鹿、使わぬ方が勿体ないでしょう?」


「くくっ…貴様はほんと、根が腐っておるな。だからこそ、我は貴様が部下で大変嬉しく思うておるぞ」


「有り難き御言葉」



深々と頭を下げる白夜に、ボスはまたこくりと酒で喉を潤した。



「これからお前がどう行動を起こすか、楽しみだのう。

のう、十六夜に強欲。互いに好敵手と認め合う人外よ」


「おや、ボス。本当の目的はそちらの二人ではないでしょう?」



諭すような問いに、「わかっておるよのう」とボスはニヤリと口角を上げた。



「あの逸材こそ、我が求めておる闇だ。貴様が欲しいぞ、【佐雄】(さお)」



こくり、

酒は人を奈落へ落とし、高揚なる極楽へと誘(いざな)うものよ。

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