鬼と天使と少年と、
それじゃ、最後に一言。
「【вввςβδβ】(我の思うままに)」
さあ、最高レベルの黒魔術。とくと喰らいやがれってんだ!
……んまあ、爺ちゃんぐらい強いと弾き飛ばされちゃうんだけどね。
でもでもっ!今回の相手は爺ちゃんじゃない。イコール、通じるかもってこと!
そして、魔法が発動された。
ゴウッ!と風を巻き起こし火が燃え盛り大地が揺れる。
いやあ、ほんと言うとね、これ学生さん禁止の魔術なわけよ。
で、爺ちゃんに「黙っててね☆」とお願いしたのさ~。
まあ多分、家に帰ったら地獄が始まると思いますが。
冷や汗をタラリと流し、それでも俺はこの魔法に賭けた。
「この空間を壊してくれ!」
イチかバチか。
二人が俺のために動いてくれたんだ。俺だって体に鞭打つさ。
急に喉の奥から何かが込み上げ、俺は口元を手で覆い咳き込んだ。
「げほっごほっ、っぅ…………やべ、思ったより早いな」
手のひらについた真っ赤な血。
これが、禁術とされた最大の理由。
最悪、命を落としかねないもんね。
それでも俺は、諦めない。
この “空間を壊す” までは。
ああ、大丈夫。世界を壊すんじゃない。俺たちを閉じ込めている、この空間だけ。
だってそうじゃん。
ふつー、夜の学校にいきなりなるなんてわけないし。
てことは異空間に飛ばされたってことだし。
なら壊そうぜって話。