鬼と天使と少年と、

一方、鬼子改め倭草と十六夜捜索隊は…


「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「……(き、気まずいっ)」


始終無言のある意味地獄状態であった。



「(何コレなんだこれめっちゃ気まずいんだけどそれより何よさっきの言葉。え、喰うってなに?あれ、あれか。そういう性的な意味の喰う…ってオイオイ何想像してんだ俺キモイ死ねつーかマジでどういう意味なんだよ『喰う』ってグロか、グロ的な意味なのか誰か教えてくれえええええッ)」


「なあ、」

「ひゃいっ!」



しくった。


悶々と考え過ぎていたせいで声が裏返っってしまった倭草は、羞恥を噛み締めながらも十六夜に目を向けた。

しかしそこには、顔を逸らして肩を震わせている黒髪青年。


え、ちょ、笑ってらっしゃいますよこのお方。失礼なんじゃないですか、え。


元より短気な倭草なため、『こいつド突いたろか』と拳を握りしめ震わせていたのだが。



「くくっ……やっぱり類は友を呼ぶんだな。あんたもなかなか面白い。どうせ勧誘するなら手始めにあんたからでもいいな」

「はい?」



話がサッパリ。
意味が分かりませーんっ。


目をパチクリさせる倭草に、目尻の涙を拭いながらこっちを向く十六夜。

笑いすぎダロにーちゃん。少々プッツンきそうな倭草だったが、ふと十六夜の言葉に疑問を感じた。


勧誘とな?それは一体どういうことだ。


思ったことをそのまま十六夜に言葉にすると、そのまんまだと男は答える。



「あんたが旧校舎の件で頼まれてたのは、とあるファミリーのせいでだ。俺はそのファミリーに属してないけど、間接的に関わってはいる」


「……うん?」


「オツムが弱いな、鬼子は。まあ何が言いたいのかっていうと。

俺は【闇喰いファミリー】の十六夜。その名の通り『闇を喰らう』ファミリーだ。鬼子、あんたの闇もなかなかどうして美味そうだ」


「……えっと、つまりテメェが喰らうっつーのは俺の闇で……、ん?それっていいことなんじゃねーの?」



正直難しい話なんぞ分からないのだ。オツムが弱いと言われても仕方がない。

まあ勿論、だからと言ってその悪口に反応しないと言えばそうでもないが。


今は整理するのでいっぱいいっぱいだ。
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