鬼と天使と少年と、
さて、平穏(?)な雰囲気を戻した倭草チームはさておき、我らが佐雄チームはというと……。
「何これ…、なんだよこれっ。爺ちゃんどこ行ったんだよ!」
ひとり、わけも分からずオレンジ校舎の中で佇んでいた。
先程まで隣にいたはずの親族がいなくなった……いや、自分がどこかへ飛ばされたのだ。
こうなったのは、つい先刻のこと。
どうも、佐雄です。爺ちゃんと只今地下室捜索中なんだけど……。
「あーもう見つかんねーっ!ホントにあんの地下室っ、もうとっくに埋もれてますとか言われたらさすがの俺もキレるよ爺ちゃん!」
「わしに言われても」
旧校舎の北棟にある教室に順番に入っていくけれど、それらしき扉は右にも左にも下にもない。
そろそろ疲れてきたゾこの作業。
元より俺はぐうたらっ子なのだ。本来放課後にでもなれば家で寝るかゲームかのどちらかなのだ。
長時間労働はキツいぜブラザー。
「なーに眠そうな顔しとるんだぇ。雨乱もまだ見つかってないぞぃ。お前は友人思いの奴ゆえ、ここでへこたれる者じゃなかろうに。のう?」
「わかってるよ……。雨乱のことだけじゃない。倭草も剣牙も、それに爺ちゃんのことだって何ひとつ解決してないしさ」
「かっかっか!そう焦るな焦るな、お前はいつも通りでいいぞぃ。お前のペースで、少しずつ知っていけばいい。
焦ってもなんの得にもならんわい」
げらげら笑い肩を叩いてくる爺ちゃん。容赦のない痛みだったけど、その分ジーンと心に響く。
俺も爺ちゃんにつられて頬を崩した。
「そうそう、焦ってもいいことなんてありませんよねぇ。ねえ、強欲?」
第三者の声。
途端、爺ちゃんの顔が強(こわ)ばった。さっきまでちょう笑顔だったのに。