鬼と天使と少年と、
そして現在に至る。
どこか分からないけれど、ここがまだ旧校舎なんだってことは今いる教室の雰囲気でわかった。
それにしても、だ。
爺ちゃんを【強欲】だなんて呼ぶ人はこれで3人目だ。
姫サマと十六夜さん、そしてさっきの色気ムンお……いや、【白夜】(びゃくや)さん。
みんなみんな、爺ちゃんを敵視してる。なんで?
爺ちゃんが、何をしたの?
まだ何も解決していない。爺ちゃんも雨乱も、倭草も剣牙も。
俺だけ、何も知らない?
俺だけ、教えて貰えない?
俺だけ、おれ、だけ……。
俺だけ、仲間外れ?
ひゅっ、と喉が鳴った。
あれ、この感覚。なんか、前にもあった、気、がする。
ひとりぼっちで、誰にも構ってもらえない。甘えようとしても、いつも顔を背けられた。
アレは、いつのことだったか。
ぐるぐると、俺の中でナニカが渦巻く。それは決してイイモノなんかじゃないはずなのに。
何故だが、心地いい。
安心、するんだ。
「そうだろう、そうだろう。元より貴様は“こちら側”なのだ。のう、佐雄よ」
「ひっ……」
唐突に後ろから声をかけられ、思わず小さな悲鳴が漏れる。
反射的に後ろを見れば、俺よりも背の高い、けど大人の雰囲気を出す青年、みたいな。
黒がよく似合う人がいた。