鬼と天使と少年と、

ぐすん、と鼻を鳴らしながら、ゆっくりゆっくり降下してくれる雨乱の横顔を見る。

うわあ、やっぱ女の子みたいだよなあ。金髪さらさらキューティクルやばす。

青い目とかほんと綺麗なんだけど、え、この子ホントに男だよね。

でもちょっと生意気そうな……。


「(……あれ?)」


ふと、なにか疑問を感じた。
この雨乱、なんかチガウ。

もしかして……。



「ほら、低い位置まで来たので降りれるでしょう?早く降りてください」


「うぇ?あっ、はい…」

「? なに見てるんですか」

「! えっ、いやっ、なんでもねッス!」

「?」


やっぱりそうだ。

雨乱をジロジロ見てる俺に、その本人は『なんだコイツ』とばかりに俺を不審な目で見てくる。

その、雨乱の目が、おかしい。

あ、いや語弊。
雨乱の目線の位置がおかしいんだ。


雨乱と俺の身長はたいして変わらないはずだから、俺と目線はだいたい合うはずなんだ。

けど今の俺ら、身長差がありすぎる。

しかもこの雨乱。今よりちょっとあどけないというか、幼い顔立ち。

雨乱が俺を地面に下ろしてくれて、こうやって向き合って、今やっと分かった。



この雨乱、もしかすると昔の雨乱なんじゃあないのか…?



本来よりずっと低い身長。

今よりもあどけなく見える幼い女顔。

性格も今よりトゲトゲしいし、何より決定的なのが。


“俺のことを知らない雨乱” だってこと。


一体どういうことなんだ?雨乱が若返っただけなら記憶はあるはずだし、でも記憶ないし幼いし……。


『ゲームをしようぞ、佐雄』

「あ。」


そういえば俺、なんでココにいるんだっけ?俺、雨乱を探してるんだよなあ?
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