鬼と天使と少年と、


「なあ、雨乱。今の雨乱…、っていうか。君っていま何歳なわけ?んー、見た目的に7歳?んにゃ、6歳かな」


ごろん、と地面に転がり上目遣いで雨乱を見上げる。

む、なんだかこの態勢すごく眠くなってくるゾ。ただでさえぐうたらっ子サオ君な上にワケワカメな出来事の連続だったんだ。

しかも天気良好のむっちゃお昼寝日和。…ん?そういや本当の世界は夕方だったよな。でもこっちは太陽サンサンなんだよね。


…なんか、あの銀髪イミフ男って変な魔法使うのな。

色気ムン男…、じゃないや。【白夜】(びゃくや)さんも銀髪イミフ男とおんなじ魔法使えてたし。

むーん、さっぱりホイホイ。



「いえ、私はこれでも…、ええと、人間でいう11歳です。初等部5年ですがなにか?」



………。え?


「な、え、…さ、さっぱりホイホイ」

「は?」


じゅ、11歳…だと?

いやいやいや嘘でしょ冗談でしょマジマイケルアリエンティでしょ!


目をパチパチさせ、ごしごしと目を擦りながらもう一度俺はちっちゃい雨乱を見る。

ええ、そりゃあもう頭のてっぱんから爪先まで舐めるようにジロジロと。

でもやっぱり6、7歳にしか見えなくて。


確かに俺の知ってる“今の”雨乱だって俺より背はちっちゃいけどさ、だけどさ。

そんでもってこの雨乱は11歳だし?俺、(まだ誕生日きてないけど)14歳だし?

3歳ほど年の差あるけどさ、やっぱ雨乱ちっちゃすぎじゃない?


れれ、なんか、おかしくね?


「……、何か言いたげな目ですね。まあ、確かに私は小さい方だと思います。けれど私はれっきとした11歳であり初等部5年生ですから」

「っ、わ、わかってるよ。けど…」



「“赤の他人”が、私のような“どうでもいい”存在を気にする必要ないんですよ。

先程から何なんですか。ヒトのことをジロジロジロジロと。

はっきり言って、“気持ち悪い”です」


「きっ…?!」



それじゃ、私はこれで。

くるりと踵を返し去っていく、ちっちゃな雨乱。俺は追いかけることが出来なかった。


だって、俺、泣きそうだもん。


『赤の他人』『どうでもいい』『気持ち悪い』……、


“トモダチ”にそんなこと言われたら、ふつー傷つくじゃん。
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