鬼と天使と少年と、

ずっと探してた。

一日中探してた。

大切な人だから。

友達だから。


「っ…(くそっ、動けよっ…、動けよ、俺の体!雨乱がすぐそこにいるんだっ!
やっと、会えたんだ!なのにっ)」


どうして体が動かない。


答えは簡単。

多量出血に疲労困憊、無茶な空間移動の連発、おまけにさっき頭のアカンところをぶつけたときたもんだ。

動くはずがない。
否、動けばそれは奇跡だろう。

それほどまでに気力も体力も根こそぎ奪われてるんだ。

けど、


「(ここまできてっ…、諦められるもんかよっ…!)」


奇跡なんてものはもう、自分が起こすしかないんだから。


「っう、ぁぁあああッ」

「佐雄っ…!」

「っはあ、うら…。やっと。やっと、見つけたんだ…。もう、離さないから。だからっ、雨乱もっ…!」

「っだからって、私のせいで佐雄を傷つけたくありませんッ!今の私では目は見えませんが、ですがっ、声だけでもう無茶をしてることはわかります!
あなたは努力する人間じゃないってことも、私は知ってますっ!」

「何気にひどいっ」


お互い疲労が溜まっているだろうに。俺のハートはブレイク寸前なんだぜバカヤロー!

と、いうか。


「え、目ぇ見えないってどゆこと?」

「え?見ての通り、目隠しされてるんですけど…」

「はぁああッ?!」


目隠しだあ?!

お、俺の大切な友人に目隠し及び拘束とは…っ。

一体誰がやったんだよそんなこと!


っていうか、なんで雨乱が拘束されてんの?え、え、ちょっと待って。


雨乱は自分から逃げたんだろ?
なのに、なんで…。


「……雨乱。もしかして、お前、ここに閉じ込められてる…?」

「私だけでなくあなたもですけどね、佐雄」

「……。(まじっすか)」


一体何がどうなってんだい?
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