鬼と天使と少年と、
ちょこっと頭が混乱してきたぞ、むむむ。
ひとまず頭ン中を整理してみよう。
まず第一に、雨乱は女装が嫌で逃げていた。でもそれは口実に過ぎなくて、実際は剣牙の陰謀が原因だった、と。
そして第二に、雨乱を探すため俺たちは剣牙の陰謀通りに旧校舎へ入り、変なモノに襲われた。まあ、爺ちゃんたちが助けてくれたおかげでなんとかなったけど。
さらに第三、二手に別れて行動するやいなや爺ちゃんとはぐれ、あの銀髪イミフ男の変なゲームに巻き込まれ…。
そして空間を転々とし、今に至る、と。
………………、んん?
ちょっと待って。
あれ?え?てことは、さ。
もしかしてだけどさ。
『雨乱を見つけろ』って言ったのは銀髪イミフ男で、剣牙はただ雨乱を呼んだだけで…。
むむむ?
おいおい、ちょっとまさか…。
「あ、あの銀髪イミフ男が全ての元凶だってこと?!」
「へ?えーと、佐雄。話がよく分からないのですが…」
雨乱の困ったような声が頭上から聞こえる。
いや、うん。俺もよくわかってないんだけど。ていうか推測なんだけど。
「雨乱が囚われて、俺たちが色んなことに巻き込まれた原因は、剣牙じゃないんだ」
「け、剣牙?剣牙ってあの、私と倭草に話を持ちかけてきたあの人ですよね」
「そ、姫サマと一緒にいるあの人。そして、俺たちは勘違いしていた。黒幕は剣牙じゃない。
…ここからは推測だけど、ほんとの黒幕は多分…。
銀の髪をした、…そう、白夜さんのいう【ボス】ってやつだ」
そしてそいつは今、
「御名答」
俺の後ろにいる。
俺は見えない瞳をやつに移し、無意識にニヤリと口角を上げてしまっていた。
「…ハロー、それともこんばんは。俺の今世紀最大に虫酸が走りそうな相手である、黒幕さん?」
「くくっ、酷い言われようだの。逆に、我は貴様を好んでおるのだがな」
「っ、はは。何言ってらっしゃるんでしょう?俺をこんな目に、…いや、俺はまだいい。
っ雨乱を、雨乱をこんな目にあわせたやつに好まれるなんてっ、それこそ虫酸が走るねッ!!」
俺の怒りはピークだよ、おやっさん。
笑ってられんのも今の内だ。