鬼と天使と少年と、
「お、倭草来たぞ。おーいっ、早く来ーいーよーっ」

「倭草ーっ、ちなみに言うと今日はテストですよーっ」


「マジでっ?!」



うん、だから早く来て。
テスト日に遅刻すると課題が追加されるんだからな。


息を切らさず走ってきた倭草と共に、俺らの通う【魔法学校】へと足を踏み入れる。

今日はテストがあるためか、周りにいる奴らはみんな魔法書熟読やら杖を振ったりしている。


いやぁ、勉強熱心なことで。
感心感心。



「やぁーっべ、俺全然勉強してねぇーわー。雨乱、佐雄。勉強してきたか?」


「「全然」」



俺と雨乱が同時に首を振ると、「だよなー!」と言って倭草がはにかむ。


ちなみに言うと、雨乱は頭がいいけど倭草はそうでもない。

肉体的なことの方が倭草は得意だ。


俺?俺はまぁ…知能はフツーで肉体的にも反射神経以外はビミョー。

まあでも、そんな俺にだって取り柄はあるさ。



「今日のテストは実技系ですよね。なら佐雄は楽勝ですね」


「いいよなー、佐雄は。魔法に長(た)けてるんだからさ。俺なんて基本魔法しか使えねーぜ?しかも攻撃型」


「そういう私は防御型と治癒魔法しか使えませんよ。天使は攻撃魔法を取得しにくいですから」



そう言って俺を見据える二人の視線に耐えきれず俺はどっか遠い目。


ちなみに言うと雨乱は男。
男でも自分のこと【私】って言うだろ?

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