鬼と天使と少年と、
「お前ら相変わらず人気だねぇ…。人のこと天才天才っつってっけどよ、お前らは女子に悲鳴を上げさせる天才だよ」


「うううう嬉しくないですよぉっ、って倭草?!」


「いや…あの子可愛い、ぬがっ?!~~つぅッ。お前殴ることねぇだろ?!」


「女の子に見とれているからですっ。いいからいつもの場所行きますよ!」



そう言って俺らが向かった場所は…。


ーバァンッ



「ちょっと倭草!扉を開ける時は静かにっ。乱暴にしてはいけませんよ」


「いいじゃねぇか。どーせ誰も使ってねぇだろ?こんな古びた道場」



そう言うやいなや、倭草は道場の中にある段差へと腰を降ろした。

ぶつぶつ言ってる雨乱も大人しく座ったところで、俺は道場の古びた扉を閉めて二人の元へ歩む。

二人はいつものことながら溜め息をついて愚痴った。



「はぁーあっ、相変わらず凄い人気だよねぇ二人共。
鬼の子である倭草はイケメン!ほんわか天使の雨乱は可愛い!なーんて言われてチヤホヤされてるもんなー」


「むぅ…嬉しくないですよ。私だって立派な男です。可愛いなんて言葉、私にとって誉め言葉ではありません」


「そーそー、雨乱は昔っから女扱いされてたもんなぁ?くくっ…ドレス着た写真、今でも残ってんぜ?」



そう言って笑う倭草をキッと雨乱は睨んだ。……睨んでも可愛いってアータ、そんじょそこらの女子に勝ってますよ。



「倭草だって昔から女でもタラしてたんでしょう?そ・の・か・お・で」


「………あ"?」



すぐさま雨乱の言葉に反応する倭草。


や、やばいっ。
顔を指摘すんのは倭草にとって地雷なのにっ!


それを雨乱も分かっているハズ。
だけど今は可愛いワードによってそこまで頭が回っていないようだ。

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