孤独と孤立と絶縁と

広がるのは灰色の厚い雲。

そこから零れる綿雪は風に踊りながらゆっくりと舞い降りる。


フッと吐いた息は白く、その寒さを物語っていた。




 「そんな所で何してる」


 「?やぁコハク。おはよう」


 「あぁおはよぅ…じゃなくて……」


中庭に立ち空を見上げる1人の女性。

偶然其処を通りがかった男性は雪の中佇む彼女に声をかけた。



 「雪はね、私に触れてくれるの。ゆっくりと舞い降りて、触れた瞬間にスッと溶けてなくなるけれど」


天へと向けた掌。

其処にフワリと舞い降りる真っ白な綿雪は彼女の体温で溶けていく。




 「…早く部屋に入れ。風邪ひくぞ」


何処か悲しげな顔をする男性は彼女を部屋へと招く。


この寒い中上着も着ず裸足で雪の上に立つ彼女。

このままでは風邪をひいてしまう。



 「心配いらないよ。私が風邪をひいた所で、気にかける人なんて誰一人として存在しない。私がどうなろうと関係無いんだから」


振り返り言う彼女。

後ろに手を組むと柔らかく微笑んだ。


 




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