アンバートリップ

 柔らかい手。まるでマシュマロのように。


 ぽーっとなりながらも首を振る。


「だけど私、ここへは偶然来たんです。誰かと間違えているんじゃないですか?」



 そっと手を放した彼は、口角を上げて上品に微笑む。




「いいえ。確かに、結奈様宛に注文を承っております」

「え?」






 瞬きも忘れ、彼が金色と言った美しい瞳を見つめた。



「どうして私の名前を、知っているの?」






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