アンバートリップ

 やっぱり、この人は。


 端正としか言いようのない、目鼻立ちのくっきりした顔立ちも、西洋人をベースに日本風にアレンジしたような親しみ深さも、珀と似ている気がした。

 髪の色は黒いけれど、上等なシルクのようにサラサラ美しい質感も、珀のそれとそっくりだ。

 ふんわりした笑い方も、穏やかな雰囲気も似ているし、何より、透き通った琥珀色の瞳を持っている。




 見れば見るほど、珀に見えてくる。




 珀が大人になっていたら、絶対こんな風になる。




 この山はどこか浮世離れした雰囲気が漂っている。


 ずっと、そう感じていた。


 だとしたら、この人が珀であっても、ちっともおかしくない気がする。

 それに、結婚目前の私が、さっきから珀の事ばかり考えているのだ。



 第六感が働いたのかもしれない。

 期待に胸が高鳴った。




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