アンバートリップ
林間学校の行先は日光。
二日目の見学工程に、日光東照宮も含まれている。
珀が去年の誕生日に話していた、三猿が有名な所だ。
学校から配られた旅のしおりに、三猿のキーホルダーや置物が写真付きで掲載されていて、私はその一つに目を付けていた。
(誕生日には早いけど、珀喜ぶよね! もしかして、病気も治っちゃうかも)
バカで子供の私でも、その頃になると流石に薄々感づいていた。
珀の長すぎる入院と、だんだん細く、途切れがちになる電話越しの声。
それはきっと、珀の病気が重いことを意味している。
だけど、恐ろしくて必死に気付かないフリをしていた。
そしてまた、私の家庭環境に更なる変化が起こる。