アンバートリップ
神様なんていないと思いながら、自嘲気味に笑ってみせる。
マスターは朗らだった。
「いいえ、単に私の名前が『やまがみ』なだけです」
「そうよね。神様なんて便利なもの、この世には存在しないもの。信じるだけ無駄だわ」
「神様の存在の有無は分かりませんが……そういった信仰は、決して悪い事ではありませんよ」
金色の瞳が、細くなる。
バカみたいに願掛けをしていた子供の頃の自分を思い出し、ムっとする。
「だけど、私は神様なんて大嫌い。ここにいる山神様も含めて全てよ」