アンバートリップ
言い捨てて、ハッと口をつぐむ。
どうしてだろう。
金色の瞳に見つめられると、感情のコントロールが上手く利かなくなる。
「ごめんなさい。別に、あなた……やまがみさんにこんなことを言うつもりはなかったの。下のお土産屋さんで山神様の話を聞いていて。そう言えば、山神様は一人の女性を待ち続けているって言っていたけど、あの……やまがみさんはその女性が誰か、ご存知ですか?」
神様を否定しながらも、『もしかしたら、山神様が待っている女性って、あなたかもしれないわよ』と言われたことが、ずっと引っかかっている。
そんな自分を滑稽だなと思う。
やまがみさんは小さな顎に細長い指を添えて、僅かに首を傾げてみせる。
その滑らかな所作に、私は息を呑んだ。