アンバートリップ

「代金のようなものです。心づけとも呼べるかもしれません。当店はいわゆる、金銭払いは承っておりません。ですから便宜的に、チップと呼んでおります」

 微笑むやまがみさん。金色の瞳が冷ややかに見える。




「お分かりかと存じますが、このドリンクはかなり特殊です。ですから、チップもそれに見合う物をいただいております」

「見合う物?」



「珀様の場合、ここへ来られた時点でのお持ち物に、ほぼ価値がありませんでした。そこで、珀様が最も大切になさっていたつながりをいただくことになりました」

「つながり?」

「結奈様と珀様の間に存在した、密度の濃い思い出です」





「どういう意味ですか?」





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