アンバートリップ
「あら、エアメール? 誰から?」
焼きたてのスコーンを、これでもかとこんもり乗せた皿を運びながらママが尋ねる。
「美紀からよ。赤ちゃん、生まれたみたい。男の子だって」
親友の美紀の結婚式に出たのは、一昨年のこと。
それからすぐにここに来て、もう一年以上経ったんだな。と思う。
手紙を最後まで読み終えた頃、皆が揃いティータイムが始まった。
今日は、ダージリンティとママが作った甘さ控えめのスコーン。
それに生垣で実った野生リンゴを煮詰めて作った、グランマ特製のかなり甘いジャム。
「結奈、浮かない顔しているが、具合でも悪いのかい?」
真っ黒に日焼けしたパパが、心配そうに覗きこむ。