アンバートリップ


 私は、そっとリビングに飾られた写真の男の子に目を向けた。




 幼い私の隣で嬉しそうに笑う、可愛らしいハーフの少年。

 その写真立ての周りを、何故か四組の三猿の置物が取り囲んでいる。



 少年は、私たち血のつながらない家族の、唯一のつながりなのだと言う。

 けれど、長い眠りから覚めた私の記憶に、彼だけが残っていなかった。





 その少年の名前が、珀。



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