アンバートリップ

 翌日、母は手作りの御馳走をわんさか用意していた。

 まるで当てつけのように。



 それからの数日間、夕飯の献立が私の好物で組まれていた。

 恩着せがましいくらいに。



 母は、ごめんとも、おめでとうとも言わなかった。




 ただ、私が喜びそうなものを無言で作り続けただけだった。


 そんな母を見るにつけて、耳の奥がキンと不快に鳴った。

 未だに胸のどこか小さな部分がチクッと痛む。



 あれで母は、埋め合わせをしたつもりだったのだろうか? 



 だとしたら、滑稽だ。


 そんなもの、私は一切望んでいなかった。



 欲しかったのは、もっと単純なものだった。





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