アンバートリップ

 悲しくないのに喉が詰まって、呼吸が出来なくなる。

 こんなの初めてだ。


 そのうち顔がぽっぽと火照ってくる。

 私は赤い毛糸の手袋を頬にあてがい、風邪ひいたかなと首を捻った。




 あれは。




 恋だったのかもしれない。



 けれど、それが恋か否か確かめる前に、私は珀と離れ離れになった。







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