アンバートリップ
「珀、大丈夫?」
驚き駆け寄る私を手で止めて冷静に頷き、ポケットティッシュの一枚を鼻に詰めながら、珀が笑った。
「最近、夜中とかに良く出るんだ。最初は僕もビックリしたけど、こうしてちょっと安静にしていればすぐ止まるから、平気だよ」
私たちは、秘密基地でしばし休憩を取ることにした。
その頃の秘密基地には、色々な物資が揃っていた。
基地を発見した日から、私と珀が少しずつ、様々なものを持ち込んでいたからだ。
そこには暇つぶしのトランプやボードゲーム等の遊び道具から、緊急食糧のスナック菓子類、寒さ対策のホッカイロやブランケットまであった。
流石にストーブはなかったけれど、ログハウスの扉をきっちり閉めて、ホッカイロを背中とお腹に貼り、身を寄せ合ってブランケットに包まれば、十分すぎるほど暖を取れた。