あの日、あの夜、プールサイドで


カワイイ寧々に
大好きな真彩


幸せにしたい
守るべき、小さな小さな宝物



10才の俺は
どこか淋しい気持ちはあるにせよ、毎日が幸せだった。




甘えんぼで
ワガママだけど
誰よりかわいい、寧々。



優しくて魅力的な真彩。



俺が18になったら。
愛児園を卒業できる年になったら
三人で暮らせるといいなぁ。


俺がお父さんで
真彩がお母さんで
寧々が二人のかわいい娘


ままごとみたいかも知れないけど、そんな日が来るといい。ここから育ったちっさな幸せを大きな幸せに変えられるといいな。






そんなことを思いながら月日が過ぎて



そんな俺のかわいい妹が4歳を迎え、俺が12歳。真彩が14歳を迎えようとした頃





「ねえ、光太郎。」


「……ん??」


「明日……ね?寧々ちゃんのお母さんが出所なさるんですって。」



静枝さんはみんなが寝静まったあとの愛児園の食堂で、俺にこんな言葉を吐いた。

寧々の両親は薬事法違反で夫婦共々刑務所送りになってしまっている。


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