あの日、あの夜、プールサイドで
その日は特に暑い日だった。
ジリジリと肌を焦がす、強い日差し
緑から香る、強い草いきれ
むせかえるような暑さに
辺りに響きわたるセミの声
息をすることすら躊躇して
苦しいくらいの暑さの中を俺と真彩はひた走る。
「寧々ー!!
寧々ーーーっ!!!」
愛児園への道すがら
俺は大きな声でアイツの名前を叫ぶ。
見つかってくれますように
何事もありませんようにと祈りを込めて、俺は寧々の名前を全力で叫ぶ。
「寧々ちゃん…!!
寧々ちゃん……っ!!!!」
そして俺の隣にいたのは悲痛な表情で寧々の名前を呼ぶ、真彩
多分、真彩は責任を感じてるんだと思う。
自分が目を離さなきゃこんな事件起こらなかったのに、って自分を責めて。責めて責めて苦しくなってるに違いない。
俺は真彩の手をさらに強い力でギュッと握り返すと
「大丈夫。
大丈夫だから、自分を責めちゃだめだからね。」
「…え??」
「寧々は無事だよ。
絶対無事だから、心配するな。」
そう言って、俺はアイツに向かってニッコリほほ笑む。