あの日、あの夜、プールサイドで
◇さよなら、僕の天使
その後のことは
正直よく覚えていない。
静江さんと真彩が来た後、救急隊の人が駆け込んできて寧々にオウキュウショチってヤツを施してたけど寧々が再び目を開けることはなく。
救急車の中で何度も心臓マッサージをしてくれてたけど、寧々はそのヒマワリみたいな笑顔を再び見せることはなく。
意識が回復しないまま、二日後に息を引き取った。
「寧々ちゃん……!!!」
「寧々!!」
「寧々ーーーっ!!」
寧々の病室は愛児園のやつらで大勢埋め尽くされていて。沢山の家族、沢山の兄弟に囲まれながら寧々は逝った。
死因は……内臓破裂。
肝臓に腎臓、ありとあらゆる臓器が打ちのめされていて病院に着いたときには処置の仕様がない、と言われた。
余命は寧々の体力次第だと。
それでも……
万に1つに賭けて、何度も何度も神様に祈った。
寧々を助けてください。
寧々を救ってください。
寧々にもう一度だけでもいい。
もう一度だけでいいから、ちゃんとさよならと愛してるを伝えさせてください。
お願いです。
神様、お願いです。
どうかもう一度だけ
寧々の瞳を開けてください――……
どうか僕の小さな天使を救ってください。
その願いは叶うことなんてなく
寧々はその瞳を開けることも
救われることもなく
俺たちに悲しみだけを残して、天国に旅立った。