あの日、あの夜、プールサイドで


“キラキラのダイヤモンド”


月原の言った、あの言葉通りの自分になれるように。いつまでも輝き続けられる自分でいられるように、俺は努力を続けてた。


同年代の最強のライバル・藤堂響弥を打ち負かし、優勝することは凄く凄く難しいことだけれど……。月原には『追いかける相手がいるのは幸せなことだ。』と言われた。



「考えてもみろよ、キラ。
追いかける方より追いかけられる方がツラいぜ??」


「…どういうこと??」


「追いかける方は具体的な目標に向かって走っていける。だけどな??追いかけられる方は見えない敵、見えない目標に向かって、道なき道を突き走るんだ。自分を追いかける大人数の足音を聞きながら…な??」



月原曰く、トップに君臨し、多くのライバルたちに追いかけられることは恐怖でしかないらしい。




「そんなもん…なのかなぁ…。」


「そんなもんだよ。」




あのボロボロの中学校のプールサイドで
月原はコーラをがぶ飲みしながら、ククッと笑った。



打倒・藤堂響弥



それは俺が中学2年生の頃から目標にしている、大きな夢。



100mでも200mでもなかなかアイツに勝つことが出来なくて、試合のたびに悔しい思いばかりしてるけど……それでも俺は努力することを辞められない。


諦めたくないんだ、自分の可能性を。


今は無理でも3年後にはわからない。
自分で自分を諦めたら、誰が自分を信じてやれる??


俺は決して諦めない。
自分と自分の努力と、流した涙と汗の力を絶対的に信じてる。


越えられない山はない。


努力を重ねて、いつか勝つんだ。


あの……藤堂響弥に。


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