あの日、あの夜、プールサイドで


「そう…なのか??」


ジュンの言葉に急に不安になってきて、寝返りを打ちながら尋ねると


「そりゃそーだろ。
求められたら嬉しいって。
オトコもオンナも好きなら触れたいし、好きならヤリたい。それは当然の気持ちだと思うぜ??」



“コウちゃんは何も知らないんだな”とでも言いたげに、ため息交じりにジュンが呟く。



そうなのかな……

俺が煮え切らない態度を見せてるのって真彩は傷ついてんのかな……



練習で忙しいって言うのは口実で
ホントはそういうことから逃げてるフシもあった、俺。



そんな俺を真彩はいつもニコニコしながら見守ってくれてたけど、ホントはいっぱい我慢してたのかな。



言いたいことを我慢して
デートも何もせず
ほっといてばかりの俺に、見えないところで傷ついていたのかな。



そう思うと、胸が痛む。



俺ばっかりが甘えて
真彩を知らず知らずに傷つけてたのかも、と思うとやり切れない。



申し訳なさと
後悔だけが押し寄せる。



「俺…ダメなカレシだなぁ……。」



暗闇の部屋の中でポツリと呟くと



「自覚したならカレシらしいことしてやれよ。」



ジュンはそう言ってクスクス笑う。



「デートに誘うとか、何かプレゼントするとかさ??まぁ、コウちゃんの貞操をプレゼントする、が一番喜ぶかもしんねぇけど、まずは恋人らしくデートにでも行ってきなよ。
思い切って…練習休んでさ?」



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