あの日、あの夜、プールサイドで
練習休んで、デートか……
特待生扱いでSGに入れてもらってる俺。
結果が出せなければその時点で一般会員と同じ月謝を払ってもらうハメになる、俺。
「ごめん、ジュン。」
「え?」
「オマエの言いたいことはわかるけど、練習を休むことだけは絶対に出来ない。」
一回の気の緩みで調子が崩れたら俺は絶対に自分を自分で許せなくなる。真彩には悪いけど、俺の一番は競泳で優先事項の一番も競泳。
これだけは譲れない、俺のポリシー。
「まぁ…やれる限りでやってみるよ。
練習が終わっても時間はあるし。練習漬けの毎日のおかげで静江さんからもらってる小遣いも、使う暇もなく溜まっていく一方だし……。なんとか頑張るよ。」
ベッドの中でギュッと手のひらを握りしめながら呟くと
「おう。
とにかく縁側の老夫婦からは卒業してくれ。
見てるこっちがやるせなくなる。」
そう言ってジュンは呆れたようにクスクス笑った。