あの日、あの夜、プールサイドで


――――――………
――――――――………


「よーーーし!!休憩!!
10分間だけカラダ休めとけ、キラ。」



ジュンとあんな話をした次の日の放課後。
俺は相変わらず練習漬けの時間をSGで過ごしていた。



コーチから休憩を指示されてプールサイドに上がった途端に、頭を締め付けていたキャップとゴーグルをガバッと脱ぎ去る。




――カレシらしいこと…ねぇ……。




髪にまとわりつく水が鬱陶しくて首をフルフルと振りながら、俺はジュンに言われたそんな一言を思いだす。




何ができるんだろ。

デート…はまず無理だろ??
貞操は…なんか罪悪感があってあげられない。

ってなるとプレゼントだけど……
俺って小遣い、いくらぐらい溜まってたっけ……。




プールサイドをテクテク歩きながら思案していると



「キーラ―くんっ!!」



突然、耳に痛い黄色い甲高い声が聞こえてきて、俺の腕にポニョンとした何かが押し付けられる。



――ハァ…またか。



腕に回された白い腕。
腕に押し付けるように引き寄せられた腕の先にいるのは


「レナちゃん。」

「なぁに~??」

「胸、当たってる。」


同じSGに所属する女の子、佐藤玲奈。


< 136 / 307 >

この作品をシェア

pagetop