あの日、あの夜、プールサイドで
真彩と違って“オスの本能”ってヤツをビンビン刺激する肉感的なプロポーションをした彼女の名前は、佐藤玲奈。俺の一つ上の高校2年生だ。
「い・い・のっ!
コレは当ててるんだからぁっ!」
「…はぁ??」
「わかってるくせに~。
レナ、キラくんのこと大好きなんだもん。だから触って欲しいのっ!」
――アホらしい。
丁寧にまかれた巻き髪に、グロスでプルプルに光っている唇。
水に濡れてもいいように眉はボディペイントでまつ毛はエクステを付けてる…とか言ってたけど、レナちゃんのその風貌はまるでどっかのホステスのようで、この場にはそぐわない。
真剣にここに泳ぎに来てる俺とは違って、レナちゃんはココに“イイオトコ”を探しに来てる。
俺にはよくわからないけど“スイマーのカラダが好き”なんだそうで。ダイエットと男漁りを兼ねて、ここにレッスンに来ていると特別選手コースに在籍する同級生から聞いたことがある。
「ねぇ、カノジョさんは元気なのぉ??
そろそろレナのこと、好きになってくれた??」
――イラつく…
頭も空っぽでケツの軽い女って正直全く好きじゃない。
「悪いけどカノジョは元気だし、恋愛も順調だよ。
俺、彼女以外には興味ないから、いい加減諦めてよ。」
無理やり当てられた腕をゆっくり取って、目の前にいるめんどくさいオンナをギロッと睨むと
「いや~ん、イケズ~。
こういう冷たい所もレナ、好きなんだよねぇ~。」
アホ女はなぜか体をくねくねさせながら、頬をポッと赤らめる。