あの日、あの夜、プールサイドで
こういうオンナって生理的に受け付けない。
寧々の母親がこういう派手な服に安っぽい雰囲気を醸し出してるタイプだったから、っていうのもあるけど……
きっと俺の母親もこうだったに違いないと思うから。
本能のままにヤリたい放題ヤッて、さんざん気持ち良くなった挙げ句、生まれた瞬間に俺を捨てた母親。
俺の中の母親に対するイメージは、目の前にいる玲奈ちゃんそのもの。
だから、彼女を見てると無償にイラついてたまらなくなる。
「何度言われても、何されても俺は玲奈ちゃんに振り向くことはないから、諦めて。」
見てるだけでイラつくんだよ。
こういう甘ちゃんな考え方して、恵まれまくって、意味もなくダラダラ生きてるオンナって。
なんの優しさも
なんの情もかけずに
冷たい眼差しと共に言い切ると
「うふ。
今はそう言っててもいつか玲奈のカラダが欲しくなると思うな♪」
そう言って、玲奈ちゃんは両腕でオッパイをギュウ~っと寄せる。
水着の隙間から見える豊満な谷間を俺に見せつけると
「触りたくなったらいつでも言ってね??
キラくんになら、何されてもいいんだ。玲奈。
」
そう言って
勘違い小悪魔はニッコリと微笑む。
――ムカつく。
俺は玲奈ちゃんを完全に無視したまま踵を返してロッカールーム目指して歩きだす。
ひんやりしている廊下を突き抜けて、ロッカールームにたどり着くと
「死ねよ、アイツ……」
手に持っていたゴーグルとキャップをロッカーに投げつけて。俺はポツリと小さく呟いた。