あの日、あの夜、プールサイドで
しまった!
そう思ったときには、もう遅い。
目の前にいる真彩はショックを隠しきれない表情で、呆然としたまま俺を見つめている。
や、やばい!
言い訳しなきゃ!!
我に帰ってワタワタしだすと
「やっぱり…、私じゃ寧々ちゃんに勝てない??」
「……は??」
「わ、わかってたんだ、ホントは。
コウちゃんの一番は寧々ちゃんで、私はどこまでいっても二番にしかなれないんだ、って。」
真彩はひきつった笑顔を浮かべながら、苦しそうにそんな言葉を口にする。
寧々に勝てない?
なんだよ、それ!!
真彩は真彩。
寧々は寧々だろ??
二人は俺にとって大切な二人だけど……、比べるとか変だろ?!
意味わかんねえ!
なんで今、そんなこと言い始めるんだよ!
「ち、違う!
そんな風に思ったことなんて一度もないよ!俺にとって真彩はかけがえのない大切な人だよ!!」
弁解したくて、真彩の肩をガッチリ掴むと
「ほら……ね。
こんなときでも大切な人って言う……。」
真彩は自嘲しながらポツリと呟く。
「ま、あや……??」
なんだ??
俺……なんか変なこと言ったか??
「わたし……私はコウちゃんの家族なんかじゃないよ!?!?」
「え……??」
「私のコトなんだと思ってる??
妹?お姉ちゃん?それとも……お母さん??もうウンザリ!!!
私はコウちゃんの恋人でしょう?!
だったら……そんな目で見ないでよ!!もっと向き合ってよ!!もっと求めてよ!!それができないのなら……もう私を解放してよ!!!」